Top Message
トップメッセージ

取締役会長 Chairman・CEO 加藤 時夫 
 取締役社長COO 黒野 透



株主の皆様へ

平素より格別のご厚情を賜り、深く感謝申しあげます。

2023年度は、部材調達難の影響が緩和される中で、設備投資需要が底堅く推移したものの、原材料・エネルギー価格の高騰や円安進行、人件費・物流費の上昇など、先行き不透明感が強い1年間となりました。

日東工業グループにおいては、高圧受電設備を中心とした配・分電盤の売上が伸長し、計画を上回る増収・増益となりました。また、最終年度を迎えた「2023中期経営計画」の値については、売上目標は達成したものの、営業利益およびROEについては、わずかに届かない結果となりました。

「2023中期経営計画」で認識した課題を踏まえ、2024年度は新たな3年間を展望する「2026中期経営計画」を策定し、「進化の加速」を基本方針とする事業戦略を開始しました。この3年間で成長の仕組みを確立させ、社会に向けて果たす役割を拡げていきます。









新3ヵ年中期経営計画をスタート。挑戦と変革を繰り返し、進化を加速します。

Q1

終了した「2023中期経営計画」を総括願います。

"地球の未来に「信頼と安心」を届ける企業グループへ"を長期ビジョンに掲げる当社グループは、その実現に向けて2021年度より3ヵ年にわたる「2023中期経営計画」を推進し、このたび最終年度を終了しました。本計画は「足場固めと攻めの経営」を基本方針に定め、「コア事業競争力の追求」「グローバル化」「新規ビジネスの展開」を柱とする成長戦略を遂行し、2023年度連結業績における「売上高1,500億円」「営業利益130億円」「ROE8.5%以上」の達成を目指しました。

結果として売上高は、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業と、電子部品関連 製造事業の伸長により想定以上の増収を果たし、計画を上回る1,607億円となりました。また、シンガポール子会社Gathergates Group Pte Ltdの業績改善などにより、海外売上高は、154億円に達しました。

しかし、利益面は原材料・エネルギー価格の高騰や為替の円安進行、人件費・物流費の上昇などコスト環境の悪化が響き、営業利益は119億円にとどまり、前年度比で増益ながら計画は未達となりました。一方、資本効率経営として自己株式の取得や配当性向の引き上げにより自己資本の抑制を図った結果、ROEは8.3%と目標であった8.5%まであと少しのところまで引き上げることができました。

成長戦略の成果を述べますと、「コア事業競争力の追求」では、二度にわたる価格改定の実施等による収益性の改善を図りました。また、2024年度の瀬戸工場稼働に向けて、顧客と生産設備を結ぶスマートファクトリーを実現すべく、DXによる独自生産システムの構築を進めたほか、電気・情報インフラ事業のコンポーネンツ強化として、省施工や省資源、長寿命をコンセプトとする新規製品を市場投入しました。

「グローバル化」では、前述の通りシンガポールのGathergates社が高利益案件への注力と原価低減活動の推進により業績改善を遂げました。また、タイに合弁設立したNITTO KOGYO BM(THAILAND)CO.,LTD.は、2021年度よりキャビネット・配電盤工場が稼働していますが、こちらも早期の利益貢献を目指しています。

「新規ビジネスの展開」では、カーボンニュートラル実現に寄与する環境配慮型産業用太陽光自家消費蓄電池システム「サファLink -ONE-」のリリースのほか、電子部品関連 製造事業では自動車・通信・産業機器市場の開拓を目指しEMC技術支援サービスを強化するなど、多くの施策を実現しました。

私たちは、この3年間の取り組みを通じて「足場固めと攻めの経営」による一定の成果を得るとともに、長期ビジョンの実現に向けて「次に為すべきこと」を明確化することができたと捉えています。

Q2
新たな中期経営計画についてお聞かせください。

irtop-message2023-01.jpg2024年度から2026年度までの3ヵ年を期間とする 「2026中期経営計画」を始動しました。グループビジョンからのバックキャストとして策定した本計画は、「進 化の加速」を新たな基本方針に定めました。「2023中期経営計画」で築き上げた足場(基盤)を活かし、「人」 「技術」「事業」「企業」「グループ」の進化をさらに加速するために、私たちは機会を拓く「挑戦」とリスク に対応するための「変革」を繰り返しながら、成長の仕組みを確立していきます。

財務目標は、2026年度連結業績における「売上高2,000億円」「営業利益150億円」「ROE9.0%以上」を設定しました。経営資源の最適配分を通じて、コア事業の強靭化と成長事業への挑戦を図り、グループ収益力と資本効率の持続的向上を実現する考えです。

今後の事業戦略についてセグメント別にポイントを述べますと、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業では、コア事業分野において盤石な基盤を築き上げ、収益性を高める一方、戦略事業分野においては、成長が期待できる市場へ積極参入し、将来の事業の柱を育成していきます。

コア事業分野の具体的な取り組みでは、2024年度より次世代型新工場として稼働した瀬戸工場には、先進技術を導入しコスト削減効果を創出します。また、大型製品の需要拡大に対応できるよう生産増強を進めるほか、後述するテンパール工業株式会社のグループ会社化を通じて、配・分電盤関連の事業基盤 強化を図ります。

戦略事業分野では、2023年12月に合弁設立したEMソリューションズ株式会社を通じて、スマートエネルギー市場における提供価値の範囲を拡大していきます。

電気・情報インフラ関連 流通事業では、提案商材の拡充や、設置・施工を一緒に提供する材工一貫体制によってソリューションビジネスを強化します。また、タイ・ベトナムの販売拠点においてもビジネスを拡大するなど、市場とサービスの領域を拡充していきます。

電子部品関連 製造事業では、EMC対策技術を活かした顧客支援体制を構築し、これを海外ビジネスの拡大につなげていくとともに、モビリティーや環境エネルギーなど成長市場への部材供給を進めることで、グローバルに稼ぐ力を高める方針です。

以上の取り組みにかかわる成長投資は、3年間で合計300億円程度を予定しており、内訳としてコア事業に110億円、事業領域拡大に60億円、海外事業に50億円、その他に80億円を見込んでいます。また既存事業を継続・維持するための定常投資は、3年間で130億円程度を予定しています。

Q3
計画初年度はどのような動きから進めますか?

irtop-message2023-02.jpg2024年度の具体的な動きでは、まずキャビネットや ブレーカなどの生産拡大に向けて新設した瀬戸工場の稼働開始が目玉となります。大型キャビネットの生産能力は、従来の約1.5倍に増強され、DXによる独自生産システムの導入で自動化と多品種少量生産の効率化を可能にしたスマートファクトリーとして、またサステナビリティを重視した環境配慮型工場として、コア事業分野における最先端のものづくりを担っていきます。

4月には、ブレーカや住宅用分電盤の製造・販売を手掛ける同業他社、テンパール工業株式会社の株式を取得し、グループ会社化しました。製造面および技術・開発面における相互補完で、お互いの強みを活かし、コア事業分野の基盤強化につなげていきます。

戦略事業分野では、前述の合弁会社EMソリューションズ株式会社が3月から事業を開始し、エネルギーマネジメント市場への展開を進めています。日東工業グループが持つ製品力に、合弁パートナー各社の機能・能力を組み合わせ、再生可能エネルギーの導入に不可欠な電力シミュレーションおよびコンサルティングから設計、施工、保守メンテナンスに至るまで、付加価値の高いサービスをワンストップで提供します。

「挑戦」と「変革」への意思をグループ全社で共有しながら、「進化の加速」に向けてアクセルを踏み込むべく、この1年間で各事業における取り組みをしっかり立ち上げていきます。

Q4

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

当社は、2022年度および2023年度の2期において自己資本の積み増しを抑制しROEの向上を図るべく、連結配当性向100%を目標とする配当実施を株主還元方針として打ち出していました。今回の期末配当は、同方針にもとづき期初の予定から増額し、1株当たり158円とさせていただきました。これにより2023年度の年間配当額は、中間配当の同72円と合わせて同230円(前年度比85円増配)となりました。

「2026中期経営計画」が始まる2024年度からは、上記方針を変更し、配当性向50%に加え、純資産配当率(DOE)4.0%を下限として、安定配当を実施する新たな株主還元方針を定めました。なお、自己株式の取得・消却は必要に応じて機動的に実施します。今後は、資金配分を成長投資へ大きく振り向け、業績の向上につなげていくことで、さらなる資本効率経営を目指します。

私たち日東工業グループは、事業を通じて環境・社会課題の解決を図るとともに、さまざまな形で地域に密着した社会貢献活動を行っています。サステナブルな未来の実現に向けて活動の幅を拡大し、より大きな社会価値の提供を果たすべく前進してまいります。ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続き当社グループへの長期的なご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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