Top Message
トップメッセージ

取締役会長 Chairman・CEO 加藤 時夫 
 取締役社長COO 黒野 透



株主の皆様へ

平素より格別のご厚情を賜り、深く感謝申しあげます。

「2026中期経営計画」を始動した2024年度は、設備投資や機械受注に持ち直しの動きがみられる一方で、原材料価格の高止まりや工事現場の人手不足が深刻化するなど、先行きに懸念が残る事業環境となりました。

日東工業グループにおいては、、新たにグループ化した子会社の連結効果や価格改定の効果、案件価格の改善効果により、堅調に推移した1年となりました。2024年4月より操業を開始した瀬戸工場も順調な立ち上がりを示し、今後さらなる稼働効果が期待できる状況です。

当社グループは、こうした環境変化に対応できる強固な収益構造を築き上げながら、中期経営計画の達成に向けて、事業ポートフォリオ戦略にもとづく成長への取り組みを着実に進めてまいります。









挑戦と変革を通じて進化を遂げ持続的成長の仕組みを確立します。

Q1

中期経営計画の初年度進捗をお聞かせください。

2024年度から2026年度までを期間とする「2026中期経営計画」は、「進化の加速」を基本方針に掲げ、積極的な成長投資とともに変革を遂行し、事業拡大に挑戦する3年間の取り組みです。"地球の未来に「信頼と安心」を届ける企業グループへ"をミッションとする長期経営構想の実現に向けて、持続的成長の仕組みを確立していくステージと位置付けています。

計画1年目の2024年度は、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業の好調が売上高の伸びを牽引し、利益を下支えしました。期初より稼働した瀬戸工場は、最新自動生産ラインを活用した「スマートオーダー」システムにより大型キャビネットの売上増加に貢献しました。また、堅調な設備投資需要を背景に、価格改定や案件価格の改善が奏功したほか、子会社化したテンパール工業㈱およびEMソリューションズ㈱の連結効果も同事業の業績を押し上げました。

また、電気・情報インフラ関連 流通事業は、IT投資意欲の高まりを受け、ネットワーク部材を中心に売上高を伸ばしましたことからこちらも増収増益となりました。

一方で、電子部品関連 製造事業は、海外自動車市場や産業機器市場等の需要減少がみられたものの、前期でのれんに係る償却が完了したことから、減収増益となりました。

「2026中期経営計画」では、経営資源の最適配分を通じてグループ全体の収益力を高めるべく、「重点成長事業」「安定事業」「将来事業」に区分した事業ポートフォリオ戦略にもとづき、位置付けと方向性を明確化した施策を実行しています。2024年度は、各事業の取り組みが着実に進展し、計画達成に向けて順調なスタートを切ることができました。

電気・情報インフラ関連 流通事業の市場・サービス領域拡大を目指す「重点成長事業」では、半導体工場建設関連の案件獲得やフィジカルセキュリティソリューションなど新たな市場においてネットワークカメラなどの販売を伸ばすことができたことから業績は堅調に推移しました。

電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業のコア領域の盤石化・高収益化を図る「安定事業」では、先ほども述べました瀬戸工場における「スマートオーダー」システムの導入が、コア事業の伸びを牽引する役割を担っています。生産能力の増強によりキャビネット売上のさらなる拡大を目指します。また、子会社化したテンパール工業㈱も設計・開発・生産の各分野でグループシナジーを最大化するための準備を進めています。

電子部品関連 製造事業と、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業の戦略領域で構成する「将来事業」は、新たな成長の種を獲得すべく、挑戦を続けています。電子部品関連 製造事業では、海外展開の拡大に向けてASEANにおける販売体制とEMC対策支援を強化し、車載用熱対策品などの新規事業の創出に注力しました。また、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業では、エネルギーマネジメント事業を手掛けるEMソリューションズ㈱において、駐車場用の太陽光発電設備「ソーラーカーポート」や「屋根上自家消費型太陽光設備」の案件提案を積み重ねており、今後の成長に期待しています。

Q2
計画達成に向けた今後の展望をご説明願います。

irtop-message2025-02.jpg「2026中期経営計画」では、3年間の累計営業キャッシュ・フロー400億円と資金調達200億円程度+αによるキャッシュ・インを見込み、これを成長投資300億円程度、定常投資130億円程度、株主還元170億円+αへ配分する方針です。計画1年目の2024年度は、コア事業の基盤強化を目的としたテンパール工業㈱の株式取得約37億円のほか、事業領域拡大に向けたEV用充電スタンドの設置事業を行うスタートアップ企業への出資も行いました。

今後の成長投資については、新たな市場への展開や事業領域の拡大に向けたM&Aの実施も視野に入れ、積極的なスタンスで進めていく考えです。

「2026中期経営計画」の財務目標は、最終年度(2026年度)の連結業績における「売上高2,000億円(うち海外売上高200億円)」「営業利益150億円(営業利益率7.5%)」「ROE 9.0%以上」を掲げています。米国新政権の発足を背景に、景気や市場動向の先行き不透明感が強まる中、足もとでは、原材料・エネルギー価格の高止まりや高騰に加え、人件費や物流費の上昇などコスト環境の悪化が継続しており、上記計画数値の達成については、決して楽観視できない状況です。

計画2年目の2025年度は、こうした固定費の増加をカバーすべく、グループを挙げたコスト低減活動を進めるとともに、より強固な収益体質を築き上げていきます。2025年度下期には、価格改定の実施を予定しており、適正な利益水準を維持すべく収益構造の見直しを進めます。そして事業ポートフォリオ戦略 の遂行においては、当社グループが持つ「安定事業」および「重点成長事業」の強みを活かし、収益性をさらに高めながら、新規案件の取り込みを加速させます。これにより「将来事業」へのチャレンジを成果につなげていくことで2025年度の連結業績は増収増益を計画しています。

Q3
サステナビリティへの取り組みについて伺います。

irtop-message2025-01.jpg当社グループは、事業活動を通じて持続可能な環境・社会の実現に貢献し、自らの企業価値を長期的に高めていきたいと考えています。

新たな取り組みとして、2024年11月に「制御盤DXアライアンス」にコアメンバーとして参画しました。異なるスキルとノウハウを持つ企業が連携し、DX要素を取り入れ、制御盤業界が抱える人不足・技術継承問題といった課題の解決に向けた変革を促進します。2025年1月には、宇宙産業を日本の新たな産業に育成すべく立ち上げられた「みんなのロケットパートナーズ」に参画しました。当社の製品・技術の提供を通じて民間ロケット開発をサポートします。また同月、持続可能な水産資源づくりを目指す陸上養殖実証実験に参画しました。陸上養殖システムは世界が抱える課題である食糧問題の改善を目指す取り組みです。普及に向けた効率的なエネルギーマネジメントに関する研究を進めていきます。

環境貢献や地域貢献についても、さまざまな活動を継続的に行っています。2025年2月には、気候変動に適応し、安全・安心で長く使える電気設備を開発するという当社グループの長年にわたる取り組みが評価され、愛知県が主催する「2025愛知環境賞」にて銅賞の栄誉を受けました。その他にも、自治体のサーキュラーエコノミーやニューロダイバーシティの推進プロジェクトへの参画や小学生を対象とした電気教室の開催など、幅広く積極的な取り組みを続けています。

そして社内では、企業グループとしての持続的な発展を支える人的資本の拡充に努め、人財の価値を最大限に引き出す会社づくり・職場づくりに注力しています。3年連続の認定となる「健康経営優良法人(大規模法人部門)」や、愛知県が女性活躍を積極的に推進している企業を認証する「あいち女性輝きカン パニー」の取得は、これらの社内施策に対する外部からの高評価と受け止めています。社長就任当初より取り組んできた「働きがい改革」を加速させるため、2025年度からは、社長直轄組織として「働きがい改革推進室」を新設し、取り組みを一層強化していきます。

Q4

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

当社は、「2026中期経営計画」期間中の株主還元方針として、 連結配当性向50%を目途とし、DOE 4.0%を下限とする安定配当の実施と、機動的な自己株式の取得・消却を打ち出しています。今回の期末配当は、同方針にもとづき期初の予定から28円増額し、1株当たり96円とさせていただきました。これにより2024年度の年間配当額は、中間配当の64円と合わせて160円となりました。引き続き高水準の利益還元を維持し、株主の皆様のご期待に応えるとともに、自己資本の抑制を図り、資本効率を高めてまいります。

私たち日東工業グループは、地球の未来に「信頼と安心」を届けるために、事業活動の幅を拡げ、より大きな社会価値を提供できる企業へ進化していきます。株主の皆様におかれましては、今後とも当社グループへの長期的なご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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