WPコード(風雨等級)とは

目次

WPコード制定の背景

近年、気候変動の影響によりゲリラ豪雨、暴風雨や台風の大型化に伴う異常気象が多発しています。屋外に設置されるキャビネットは豪雨と暴風に同時にさらされるリスクが高まっており、過酷な環境にも耐える必要があります。

従来、キャビネットの防水性能は、IP試験(防塵・防水試験)により、雨や噴流水に対する性能評価のみ行われおり、「風」と「雨」という複合条件での評価方法がありませんでした。日東工業では自然環境を模擬した評価を行うため、「風」と「雨」が同時にキャビネットに与える影響を評価する風雨性能基準を制定しました。

この評価基準は、一般財団法人建材試験センターの団体規格「キャビネット及び宅配ボックスの水漏れ試験方法(送風散水試験法)」(JSTM W 6401:2020)に基づいて検証を行い、風雨性能を記号(WPコード)で表しています。
WPコードを見ることで、お客様は必要とする風雨性能を持つ製品を容易に選定できるようになりました。

WPコードの構成

WPコードの見方

WPコードは上記書式で表されます。
第一特性数字は風速条件の風速m/sを表す二桁の数字で10~40の7段階で示します。
但し、第一特性数字で定める風速の最大値を超えて検証し合格した場合は、その数字をWPコードの第一特性数字に記載することができます。
(例:WP50H)
第二特性文字は降雨条件を表す英文字でL,M,Hの3段階で示します。

・WPコード例
    風速条件40m/s、降雨条件360mm/h では WP40H
    風速条件30m/s、降雨条件120mm/h では WP30L

第一特性数字

  ※風速条件は台風などの最大風速を想定しています。
  ※気象庁資料を加工して作成

第二特性文字

■降雨条件の記号は下記の頭文字を表しています。

L:Low
M:Middle
H:High

第一特性数字と第二特性文字を組み合わせて一つの性能を表します。

風雨の影響

風による影響は低層よりも高層の方が強くなります。
また同じ地表高さでも 大都市 < 市街地 < 田園海岸地域 の順で風による影響が強くなります。
ビルの屋上や山頂などの高所部、海岸・河川・湖沼などでは台風はもちろんのこと、台風以外でも「風」と「雨」が同時にキャビネット(携帯基地局、防災行政無線中継局など)に強く影響を与えます。

選定目安

●2019年台風第15号

 ※実際の風速は設置環境により気象庁の観測データと大きく異なる場合がありますので、風雨性能評価基準を満たしたキャビネットでも浸水する可能性があります。
 ※一年で発生する台風のうち約4割が日本に接近・上陸しています。(2019年度データより)

試験の様子

風雨性能は当社と建材試験センターのみが試験を実施可能です。

当社試験について

https://www.nito.co.jp/research-test/wind-driven-rain/

お問合わせはこちら

https://ntec.nito.co.jp/contact/contactwin.html?title=104

当社の風雨試験設備は暴風雨時の防水性の検証を目的とした設備であり、「風」「雨」の複合条件による製品強度を確認することはできません。

対象製品

現在の規格適用範囲は「主として屋外に設置されるキャビネット及び宅配ボックス」です。


風雨対策キャビネットシリーズはこちら

用語説明一覧

【ゲリラ豪雨】
局地的大雨、集中豪雨など。
気象庁が定める正式な気象用語ではなく、「強烈なにわか雨」「すさまじい夕立」といった状況を指す、マスコミやWebメディアが用いる大雨の表現のひとつです。

【台風】
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。

【風速】
10分間平均風速を指し、毎秒×.×m、または×.× m/sと表す。

【最大風速】
10分間平均風速の最大値。

【瞬間風速】
風速計の測定値(0.25秒間隔)を3秒間平均した値(測定値12個の平均値)。

【記録的短時間大雨情報】
大雨警報発表中に数年に1回程度しか起こらないような1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が観測された場合に気象台から発表される情報である。

【降雨強度】
短い時間の雨の強さを1時間あたりに換算した雨量を降雨強度といいます.単位はmm/h(ミリメートル毎時)です。

【耐風圧性能】
屋外に設置されたキャビネットがどれくらいの風圧に耐えられるかを表わす性能です。(当社基準)