nitto kogyo

「働く環境が快適になった」。
エンドユーザーの生の声から 製品の思わぬ強みが見つかった。

MEMBER

香月 真二SHINJI KATSUKI

三河営業所 副主幹
1990年 入社
商経済学部 経済学科 卒

星野 公洋KIMIHIRO HOSHINO

三河営業所
2006年 入社
社会学部 産業社会学科 卒

#1
節電に役立つ『ECOOL』を、
どう売るか?

工場で多くの機械を稼動させるためには制御盤が重要だ。その制御盤には多くの電子機器が搭載されており、そのままでは発熱して制御盤の故障の原因となるので制御盤の冷却は欠かせない。制御盤の冷却装置として、日東工業では冷却水を利用した水冷式熱交換器『ECOOL』を製造販売している。ただ、水冷式は冷却効果が高いものの、漏水による停電事故につながることを恐れ、日本では一般的でなく、メリットや良さを知ってもらうために努力を続けていた。

「『ECOOL』は一般的な家庭用クーラーと同じ仕組みの冷却器に比べ『電力の大幅削減』『ノンフロン』という特長があり、地球環境に配慮されています。『これは良い製品だ』という自信を胸に、日々の営業活動にのぞんでいました」(香月)

「我々は通常のお客様である販売代理店様だけでなく、実際に製品を使用する製造業などのユーザー様へ営業自身が『直接営業』を行い、新たな顧客の獲得を目指していました。代理店様からは受けたことがない専門分野の質問にも、スピード感を持って回答しなくてはいけません。製品について必死に勉強しました」(星野)

『ECOOL』の良さを理解してもらう中、一番の壁は強みであるはずの「水」だった。

#2
『水』が製品の強み、
そして営業の弱みに

「水」を活用した特長にユーザーの関心は高いものの、いざ導入となると同じ「水」という壁が立ちはだかった。

「冷却水を使用すると、制御盤内に水漏れが起こるのではないか?冷却水を引き込むため給水管工事という初期費用が必要だが、導入して費用対効果はあるのか?というのが主なご意見でしたね」(香月)

水漏れの不安を払拭するために、技術部門と連携して調査データを提示するなど、ひとつひとつ丁寧に答え続けた。ところが「うちには給水管の設備が整っていない」と言われると、返す言葉がなかった。日東工業はメーカーであるため、給水管工事やアフターメンテナンスのノウハウには乏しい。行き詰まりを感じていたところに、ひとつの転機が訪れた。

「大手自動車部品メーカー・アイシン精機様へ営業を続けてきた中で、担当者の方が『ECOOL』の『ノンフロン・省エネ』という性能に着目してくれたのです!」(星野)

幸運なことに、アイシン精機様の工場では元々機械の冷却のために冷却水を使っているため、『ECOOL』の設置工事が比較的スムーズにすむことが分かった。さらに、「工事・アフターメンテナンス」のノウハウに長けた販売代理店と組むことで工事の課題もクリアすることができた。アイシン精機様へ足を運び始めて約5年、代理店との協力も実を結び、1000人もの社員が働く大規模な工場へ『ECOOL』が納品された。

#3
工場の温度が体感で5℃下がった

初めての採用から数年、アイシン精機様には継続的に導入いただき大きな導入実績に繋がっていた。現場での『ECOOL』の使い勝手はどうなのか? アイシン精機様にヒアリングを行った。

「現場で働く社員の方から聞かれた言葉は『工場内の体感温度が5℃ぐらい下がり、作業環境が快適になりました』という思わぬ言葉でした。そこで実際に室温を測定してみたら、なんと2℃下がっていたのです。私たちにとって2℃という数値はわずかな差に思えたのですが、猛暑日に40℃を超える現場で働く方々にとって、2℃は大きな体感の違いがあることが分かりました」(香月)

「『ECOOL』は販売当初から『消費電力70%削減』という省エネ性を強く打ち出してきたのですが、ユーザー様へのインタビューにより、『ECOOL』に『作業環境の改善』という思わぬ強みが加わりました」(星野)

省エネやノンフロンといった“地球環境の保全”はもちろん大切だが、まずは働く社員が快適であること。そうすれば、安全性が高まり、勤労意欲が上がり、生産効率が高まる。工場の自動化が進んでいるとはいえ、モノづくりに人の力は欠かせない。「製品そのもののスペックよりも、使う人の環境改善が製品のアピールポイントになる」と気づかされた。

#4
省エネ・エコは国の課題。
追い風になるはず

省エネ・温暖化対策という強みに「職場環境の改善」という特長も加わった『ECOOL』。アイシン精機様と同様、工場内で冷却水を使用している機械や部品メーカーからの関心も高く、『ECOOL』販路拡大への手応えを感じている。

「今は、地球温暖化ストップに向けたCO2の削減や、電力供給の不安定さから、省エネの意識が高まっている時代です。とくに大企業は省エネの取り組みがさらに進んでいくだろうと読んでいます。さらなる省エネの解決策として『ECOOL』が役立つと信じています」(香月)

「私も、『ECOOL』が飛躍する可能性はあると感じていますね。例えば、フロンを使用する従来型の冷却器では、3カ月に一度フロン設備を点検する義務があり、ユーザーの負担になっているとも聞きます。『ECOOL』は維持管理面でも有用な商品であると自負しています」(星野)

大手の製造業が集まる中部エリアから「水冷式熱交換器『ECOOL』を盛り上げていきたい」と力強く話す2人。未来の日本で一般的な冷却装置になる日を目指す。

PRODUCT

水冷式熱交換器『ECOOL』とは?

機械や生産ラインを操作するための電気を制御・操作するための「制御盤」は、温度上昇を抑えるために熱対策が必要である。『ECOOL』は、工場に欠かせない制御盤を冷却するための「水冷式熱交換器」。冷却水を使う「水冷式」を採用し、ノンフロンかつ省エネを実現した。エコロジーでエコノミーな次世代型の同製品は、工場の省エネ化が進む今後、シェア拡大が期待されている。