Top Message
トップメッセージ

取締役会長 Chairman CEO 加藤 時夫 
 取締役社長COO 黒野 透



株主・投資家の皆様へ

平素より格別のご厚情を賜り、深く感謝申しあげます。

2022年度の市場環境は、コロナ禍による影響からの回復が進み、新設住宅着工戸数は底堅く推移しました。一方で、機械受注統計や民間非居住建築物棟数は持ち直しの動きに足踏みが見られ、特に原材料・エネルギー価格などコストの上昇と部材の調達難による懸念が大きく広がりました。

そうした中で当社グループは、各事業セグメントにおいて増収を果たしたものの、想定を上回る原材料価格の高騰に価格改定などの対応施策が追いつかず、減益となりました。

当社グループは引き続き「2023中期経営計画」にもとづく各成長戦略を遂行し、成果を生み出してまいります。









足場固めと攻めの経営を着実に進め、次の成長に向けて基盤を構築

Q1

2022年度を振り返り、総括をお聞かせください。

当社グループ事業にかかわる市場環境は、コロナ禍からの回復を受け、住宅・建築物の着工および企業の設備投資、情報通信関連や自動車関連などが持ち直しや底堅さを示し、電気機器やネットワーク関連部材、電子部品の需要が増加しました。その一方で、原材料・エネルギー価格の著しい上昇や部材調達難の長期化によりコスト環境が大きく悪化し、想定以上に厳しい状況となりました。

当社グループにおいては、部材の確保とコスト低減に努めつつ、鋼材価格上昇への対応として2022年7月にキャビネットやシステムラックなど一部製品の価格改定を実施しましたが、利益の減少をカバーするまでには至りませんでした。結果として2022年度の連結業績は、売上高はほぼ期初予想通りに推移し過去最高となりましたが、利益面は期初予想を下回り前期比減益となりました。

各セグメントの状況を振り返ると、電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業は、設備投資の回復を背景に配電盤部門の売上が増加し、特に住宅向け製品では、蓄電池と商用電源の切替機能付ホーム分電盤が堅調に推移しました。一方で、キャビネット部門は5G関連案件の減少に伴い減収となりました。電気・情報インフラ関連 流通事業に関しては、データセンター案件の獲得により売上を伸ばしたほか、ネットワークカメラなどの販売も増加しました。また、電子部品関連 製造事業は、電磁波ノイズ対策製品を中心に自動車関連やエアコン向けの需要が拡大し、増収となりました。

Q2
株式会社三社電機製作所との資本業務提携についてご説明願います。

irtop-message2023-01.jpg当社は2022年11月、産業用電源機器やパワー半導体を製造・販売する㈱三社電機製作所と資本業務提携し、同社発行済株式総数の5%超の出資(約6億円)を行いました。

これまで当社グループは、「守る」ことをコンセプトとする多くの製品・サービスを生み出し、世の中に信頼と安心をお届けしてきました。その取り組みは、電気インフラを火災や事故から守る配・分電盤やブレーカから、防災・減災分野のソリューションへ、更には地球環境を守り、持続可能な社会の実現に繋がるEV充電設備やエネルギーマネジメントへ価値提供の幅を拡げています。

今後、脱炭素化社会への流れを見据え、エネルギーマネジメント市場への展開を更に拡大すべく、㈱三社電機製作所との協業により、双方の強みを活かす形でエネルギーマネジメントシステムの事業化を加速していく考えです。㈱三社電機製作所が持つ高効率のパワーエレクトロニクス技術を当社グループの製品群に活かし、社会的要請と市場ニーズを的確に捉えた製品開発をスピーディーに進めるとともに、保守・サー ビス分野においても連携し、社会課題の解決に繋げていきます。

こうした新たな展開の一つとして2023年4月より受注を開始したのが、使用済みのEVバッテリーと太陽光リユースパネルを活用した環境配慮型の産業用太陽光自家消費蓄電池システム「サファLink -ONE-」です。若手社員が中心となり、今までにない発想で開発した新製品で、リユース部材の導入による好循環サイクルの創出が高く評価されるなど皆様の期待をひしひしと感じる手応えとなっています。

Q3
中期経営計画の進捗と目標達成の見通しはいかがですか?

irtop-message2023-02.jpg2021年度に始動した「2023中期経営計画」は、いよいよ最終年度を迎えます。本計画は、「足場固めと攻めの経営」をテーマに掲げ、「コア事業競争力の追求」「グローバル化」「新規ビジネスの展開」を重点方針とする成長戦略を遂行しています。

これまでの2年間の進展について述べますと、「コア事業競争力の追求」では、電気の保安事業にあたる方々の負担を軽減するスマートキュービクル普及のため、モジュール型マルチ計測ユニット「X-mo(クロスモ)」を開発しました。また、キャビネットの標準品をカスタマイズし、お客様が求める形で販売するために導入した「スマートオーダーキャビネット」システムの受注が拡大するなど少しずつ成果を上げています。

「グローバル化」では、コロナ禍からの回復が進む中で、シンガポール子会社のGathergates社が利益率の高い案件へ注力したことや地道な原価低減活動を続けた結果、業績を改善し利益貢献を果たすまでになりました。また、タイに合弁設立したNITTO KOGYOBM(THAILAND)社は、キャビネットおよび配・分電盤の工場を2021年8月から稼働し、現地市場における需要拡大を捉え、売上を伸ばしました。さらに、2022年11月には、サンテレホン㈱がタイのセキュリティーシステム専門商社Master Controls社を子会社化し、海外展開の強化に向けた態勢を整えました。

「新規ビジネスの展開」では、先ほど説明しました「守る」ことをコンセプトとする価値提供の拡大や持続可能な社会の実現に繋がる取り組みに注力しており、前述しました「サファLink -ONE-」の開発の他にも、EV充電器「Pit-2G」の普及や電気火災を未然防止する放電検出ユニット「スパーテクト」の新製品投入などが進んでいます。

本計画における財務・資本政策については、3ヵ年の営業キャッシュ・フローを350億円と見込み、これに有利子負債と手元資金を加えた総額680億円の原資を、瀬戸新工場(2024年春稼働予定)への投資に250億円、株主還元に190億円、その他M&A案件や定常の設備投資という形で分配するキャッシュ・アロ ケーションを実施しています。想定をはるかに上回るコスト環境の悪化により、営業キャッシュ・フローは当初の見込みを下回ってはいますが、概ね計画通りに進んでいます。

計画最終年度の連結業績目標として掲げる「売上高1,500億円」「営業利益130億円」「ROE8.5%以上」については、営業利益およびROEの達成が難しい状況ですが、この1年間で「足場固めと攻めの経営」を着実に仕上げ、次の成長に向けて業績の改善と成果の創出を果たしていきます。

Q4

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

「2023中期経営計画」は、2022年度および2023年度において自己資本の積み増しを抑制し、ROEの向上を図るべく、連結配当性向100%を目標とする配当方針を打ち出しました。同方針にもとづき今回の期末配当は、1株当たり57円とさせていただきました。これにより2022年度の年間配当額は、中間配当の同88円と合わせて同145円(前期比95円増配)となりました。

近年、企業経営における人的資本の活用が重要視され、2023年3月から人的資本の情報開示が上場会社に義務付けられました。当社グループは、「社員の個性を尊重し育てることにより、新たな価値を創造し、持続可能な社会に貢献する。」を人財基本方針に掲げ、ワークライフバランスの向上や風通しの良い職場環境づくりを打ち出した「働きがい改革」とともに、人財教育の拡充に取り組んでいます。特に今後は、デジタル技術を活用した業務改革を担うDX人財の育成を強化し、2024年度には全従業員の10%をDX人財にすることで、企業価値の拡大に繋げていきたいと考えています。

2022年度は、期初の利益予想を下方修正する状況となり、株主の皆様にご心配をおかけしましたことをお詫びいたします。当社グループは、2023年度において収益力をしっかり回復させ、2024年度から始動する次期中期経営計画では、ソリューションをグローバルに展開し、技術力を広くアピールすることで、新たな成長を実現してまいります。

株主の皆様におかれましては、これからの当社グループの飛躍にご期待いただき、長期的なご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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